6月第275回例会のご案内

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開催日 08.gif 平成26年6月7日(土)
会場 08.gif  千駄ヶ谷区民会館
開場 08.gif 17:30
開会 08.gif 18:00 終了予定21:00
会場整理費
08.gif 500円

※ 夜時間の開催です。

「夜時間」とは4月から9月までの期間を18:00から21:00までの開
催とするもので、ちなみに10月から翌年の3月までは「午後時間」と称
し13:30から16:30までの開催時間としています。

発表者と演題

■(前半) 榊 昌子 氏
  今、宮沢賢治に聞きたいこと

■(後半) 大塚 常樹 氏
  宮沢賢治の言語戦略(1)
修辞法に注目して

(前半) 榊 昌子 氏
 今、宮沢賢治に聞きたいこと

 とてもユルイ演題ですね。「聞きたいこと」としたけれど、もちろ
ん宮沢賢治が答えてくれるわけはない。要は東京の皆さんへの質問で
す。今、用意している問いは三つ。それぞれのキーワードは、「仙
台」・「信仰」・「雨ニモマケズ」(ヒドリの話ではない)です。少
し(かなり)欲張りのような気もしますが、はるばる秋田くんだりか
ら出て行くので、たくさん勉強したいのです。一緒に考えてください


(宮沢賢治研究会会員。著書に『宮沢賢治「初期短篇綴」の世界』
『宮沢賢治「春と修羅第二集」の風景』など。)

(後半) 大塚 常樹 氏
 宮沢賢治の言語戦略(1)修辞法に注目して

 賢治の心象スケッチや童話を読むと、私たちは他の童話作家や詩人
との違いを強く感じます。他者への愛や他生命との共生、宗教的な主
題や教訓性は童話にはつきものですし、自然の中に美や理想の生のあ
り方を見いだすのは詩によくあることで、このようにくくれば賢治だ
けの特性ではありません。賢治の特異性は、化学や鉱物学、古生物学
などの文学者の多くが苦手とする領域に特化した知性教養があるこ
と、また仏教への深い教養がありながら宗教くさくないモダンな意匠
をもち、科学と宗教という対立しがちな世界認識が深層構造で見事に
融通しているところにあるでしょう。しかし童話も詩も想定読者は一
般人であり、特に童話は子供を想定読者としてますから、読者が簡単
に理解できるような工夫がこらされているはずです。すでに私は文化
記号学の方法を駆使して、賢治テクストの表面構造の下に、幾層もの
科学的、文化的、民俗学的、神話的な構造が層をなしていることを指
摘してきました。文学はコトバというメディアによる芸術です。つま
り視覚的な文字と聴覚的な音を用いて、概念とそこからもたらされる
イメージを喚起し、登場人物やストーリー等の設定と情報操作として
の語りによって、私たちにあるメッセージー美、教訓、感動などを伝
達するのです。このような視点から現在の私は賢治の言語戦略に興味
をもっています。言語戦略には題名や固有名詞の付け方、視点の選択
など様々な要素がありますが、今回はその一つとして、修辞法を取り
上げてみたいと思います。修辞法の代表である比喩の高度な戦略は二
つの概念を結びつける多重化機能にありますが、賢治テクストを概観
すると、光、特に太陽と結びついた比喩が重要であることがわかりま
す。賢治の光は、宝石や水、香りと結びつくのが特徴です。統計的な
方法ではなく、文脈的(作品における効果や意義に目配り)な分析方
法をとりながら、光の変化の表現や、提喩法と曖昧法(サスペンショ
ン)、漸層法などが、私たちへの見事な誘惑法として機能しているこ
とを明らかにできればと考えています。

(御茶ノ水女子大学大学院教授、専門は日本近現代詩、文学理論。著
書に『宮沢賢治 心象の宇宙論』『宮沢賢治 心象の記号論』など。)

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